さよならのあとに
2010.10.12 Tuesday
たった一晩のうちに二人分の訃報を聞いて、日々はとてもあやうく、何かを失いながら過ぎていることを噛み締めている。いつもどこかで、わたしの知らないうちにひとつひとつ生命は零れ落ちていく。そして、わたしたちに永遠がないことを思い返す。神様がいるのなら、なぜわたしたちに命を与えるのかを教えてほしいと願ったけれど、その夜は切れ切れの夢を見るばかりで、まるで世界が沈黙してしまったようだった。わたしのもとには写真だけが残される。そこには永遠が横たわり、もう二度と時を刻むことはない。写真の記憶は鮮明な輪郭をえがく。確かにここに、あなたがいたということを。いつもわたしは見送ってばかりで、何が出来たのだろうかと考えてみても、容赦なく日々は過ぎていくのだった。人にはいくつかの哀しみが用意されていて、生きるということは、その哀しみを越えていくことなのだろうか、と思う。生まれては果て、生まれてはまた果てる。星の瞬きほどの短い一生がつらなっている。