N.Y.

2008.01.06 Sunday








































滞在したホテルは、ペンステーション駅近く。
目の前にはマディソンスクエアガーデンと、
エンパイアステートビルがそびえ立っていた。
巨大なビル群に、
太陽の日差しも遮られていた。

初日に仲間のグループ展のオープニングを見にいった。
地下鉄が路線を間違えてストップしたので
仕方なく何ブロックか歩いた。
チャイナタウンを横切ってぐんぐん歩く。
3ドルあれば十分に空腹を満たしてくれるこのエリアは、
アーティストたちの食堂だという。

グループ展はfashionとartの融合がテーマだった。
リラックスした展示スタイルに
これがニューヨーク風かと思っていたら、
ピンからキリまであるんだと言う。
自分の写真集を何人かに見てもらった。

2日目にグラウンド・ゼロを見にいった。
えぐられた傷跡が、生々しく残り、
アイアンの十字架のモチーフが痛ましかった。
真ん中にぽっかり空いた大きな穴。
その痛みを、忘れないように、忘れないように。

3日目は新しくなったMOMAに行った。
一番印象的だったのは、
絵を取り囲んで、子供達が授業を受けている姿だった。
ピカソやシャガールの絵を前に、
子供達が真剣な眼差しを送っている。
模写をしている子供もいる。
いかにアートが身近であるかがわかる。
美術館の中で自由に、
写真撮影してもいいなんて驚きだった。

その夜、郊外に住む知人を訪ねてバスに乗る。
ニューヨークから160キロ離れた街、ニューパルツ。
マンハッタン島を離れしばらく走ると、
だだっ広い道路が続いていく。
ニューパルツは本当にのびやかな街で、
まさに「アメリカに来た!」という感じだった。

ここにはもう在米30年という
日本人アーティスト夫妻とその子供が住んでいる。
アメリカ式の親子関係に見とれてしまった。
すごく自然に、対等であるように見えた。
まわりは森に囲まれて、庭に出るとプールがあり、
放し飼いの鶏たちがひょこひょこ歩いていた。
しんと静かな空は高く、空気も透き通っていた。

翌朝、アンティークショップに立ち寄り、
またマンハッタン島目指してバスに乗る。
「彼女は日本人だからよろしくね」と
奥さんが運転手や同乗者に声かけするのが嬉しかった。

そして、ブルックリン・ウイリアムズバーグのギャラリーへ。
川を渡ると急に街並みが穏やかになる。
空の広さも、全く違う。
アーティストたちが自分たちの場所を
自分たちで築きあげた街らしく、
どこか不器用で、あたたかく、懐かしい感じがした。
個展をするなら、この街がいい。

次の日にはチェルシーを回った。
最初からギャラリーとして機能しているだけあって、
ウイリアムズバーグと全く違ってまた面白かった。
100あまりのギャラリーのひしめく街が、
当たり前に存在できる事実は凄い。

素晴らしいものもくだらないものも
美しいものも醜いものも
すべてがそこでそのエネルギーを放出している。
良いも悪いもない。
生きていること。そのままだ。

わたしが一番身にしみて感じたのは、
技術でも体裁でも栄誉でもなく、
堂々とすればそれでいいということだ。
自分の中でまたひとつ扉が開かれた気がした。
役立つ手法を盗むつもりで回っていたが、
途中でそれさえ疎ましく思えた。
それは、自らが生み出すものである。

何かと比較すれば、上手も下手もわかるかもしれないけれど、
未熟さもいい加減さも、
二度とは表現できない原石だとしたら、
わたしはそれを恥ずかしく思うのではなく、
むしろ誇りに思っていよう。


(2006.2 N.Y.)
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コメント
NY懐かしいです。
ワインのボトルが開かなかったのもいい思い出です。

ノリちゃん、頑張ってますか?
  • by やました
  • 2008/01/30 6:50 PM
ひさしぶり!元気??
あの吹雪のことは、忘れられないね。
茶兵衛で3月に展覧会するので、
良かったらのぞいてみてください。
  • by NORi
  • 2008/01/31 10:36 PM
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